Special_feature特 集

クリエーターズインタビュー

立体は"楽しい固まり"です!
画家・イラストレーター/大学教員: 廣中薫さん

POPオバケな粘土ドローイング!"出た~!"感じを思いきり演出

 粘土を絵の具的にも使用したら、迫力ありそう(!)とも考え、メジウムを混ぜた絵の具的に『粘土ドローイング』をしてみました。粘土の豊かな色彩をそのまま色画材として使用、イメージに合わせて丸めたりちぎったり、ねんどで自由に線を描いてみた"粘土ドローイング"!?です。独特な『ねんど線』は存在感が強く楽しく迫力でした!!!
 モチーフは笑ったり怒ったり。毎日のなかでいきなりアクシデントへ立ち向かう私です。ぎこちなく自信が無く、イライラ・シューシュー・ウロウロ・ダメダメxx かなり怖い顔をしてしまっています(そして、私は口のカタチがかなり大きい)。というわけで、『口の大きな・お顔オバケ』を作ってみたくなりました。笑って過去を流したい! さよなら!! 「お顔 (x_x)オバケ・チャン!」
 私はふだん、身の回りのモノを何気なく変形させ(くっつける・貼る・結ぶ・切る...)、立体にして遊んでいます。普段のアトリエで、TVを見ながら、電話をしながら、山歩きや散歩しながら、日常でも非日常でも気持ちがふわふわ開いてきたり、普段と違った回路で何かを試みたくなったらつくります。粘土は物質感・存在感が頼もしく、触る・ひねる・押す・叩く・ちぎる・丸める・潰すなどの体とのやりとり(身体感覚)が達成感となって、マチエールをずっと眺めていたい気持ちになります。平面ではメジウムを用いて盛り上げたりマチエールをつくったり、身体感覚を思いきり入れたストローク線による描写が大好きですが、粘土はそうした強い表情がたくさんつくれます。触覚(指&手全体)×心×嗅覚で、気持ちとともに力の強弱がかたちへと変化して、ライブ感覚に似た痛快な面白さを感じます。  次世代クリエイターの皆さん、ネットの便利な環境に頼りすぎず流されず、自らたくさん経験して独自の五感で眺めみた、新たな回路からの絶対感覚を頼りに作品づくりを!

 ふだんから、気もちがふわふわと開いたときや、違った回路でなにかを見たくなると、身の回りのモノを何気なく変形させて立体にして遊んでいます。好きな素材は粘土や発泡スチロール、それとプラスチックや衣服や紙類などの廃材です。なかでも粘土は、気もちとともに力の強弱がかたちへと変化して独特な質感と多様な表情が生まれてきます。触覚と心と嗅覚が掛け合わさってひとつに繋がり表現できる痛快な面白さは、即興的ライブ感覚にどこか似ているような気がします。
 ネットの便利な環境についつい表面的に流れてしまうと、試行錯誤を省いて受身思考となり、結果として"表面的まとめ上手"(??)に陥ってしまう気がします。時には一見無駄な時間や予算をかけてじっくりモノを眺め、小さな変化を楽しみながら新たな試みで探ってみてください。冒険的思考は失敗も伴いますが、自ら五感で考えて気持ちが入っていくと新たな回路が開き、作品に存在感と強さがプラスされて個性へと発展していきます。若い感覚で世相をとりこみ、クリエイター独自の柔らかく楽しいイメージをカタチとして発信しましょう。小さな表現のうねりは、未来社会をも照らしてくれます。それは思い通りに行かない面白さ、試行錯誤の訓練。身近な素材のひとつとして、粘土は気軽で優しく(難しく)遊べる、自身の成長ともなる素敵な素材かもしれません。

PROFILE

廣中 薫

画家・イラストレーター/大学教員/主な活動:"身体感覚"を使用した街つくり・活性化、サイン・壁画・ワークショップの開催、展覧会・イベントの企画・開催等/ 神戸"luvartFACTORY-Q"ギャラリー主催。