Special_feature特 集

クリエーターズインタビュー

キュートにスタイルアップ
ドールを生まれ変わらせる魔法使いのテクニック。
ドールカスタム作家:みつばち@BabyBee

ピックアップタイトル@craft第1回目ゲストは、ドールカスタム作家のみつばち@BabyBeeさん。彼女が手がけたドールには、独自の甘く妖しい世界観をまとった不思議な魅力が。今回はその秘密のテクニックをうかがってきました!

初めておじゃまするアトリエでは、カスタムドールの作品ポスターや原寸大人体標本がお出迎え。ひいいい。

みつばちさんの子供時代は男子系遊びが好きな、昆虫&分解マニアだったとか。
その名残か、スタイリングした男子ドールは「なりたかった自分かも」。

今回のクラフト:ドールカスタム

ドールカスタムとは、ファッションドールや球体関節人形にメイクやコーディネーションを施し、自分好みのスタイルにカスタマイズすること。ファッション感度の高い女の子〔勿論男子もいます!〕が、様々な世界観をドールにまとわせて遊ぶファッション系ホビーなのです。そこで今回はドールカスタムにTRYしたい方のためのメイク講座をピックアップタイトルで開催しちゃいます。

みつばち@BabyBee流 カスタムメソッド&マインド

STEP1 ファッション&メイクのイメージを固める。

カスタムに手をつける前にはまず"落としこみたい世界観のイメージをきちんと決める"ことが大切なのだとか。みつばちさん自身は一枚の画像にインスパイアされることも多いそう。 「私の場合、カスタム前に作りたい世界観に近い風景の画像や写真集を見たり、カスタムのイメージ画を描いたりしますね。この間は月の写真一枚から連想できるものなどを膨らませてカスタムしました。最終的なイメージもなくノープランでカスタムを進めると、途中で迷ったことがそのままドールの表情に出たりします。とにかく自分なりの世界観や展示会のテーマなどのベースを持つことです。唇ひとつでも、口角を上げるのと下げるのでは全然違う表情になります。性格やキャラ付けは作っている途中や完成後でOK。ドールと対話する感じが大切なのかも」

作りたい世界観を形成する小物たちが、部屋のあちこちに。ドールサイズな小物が素敵でした。

STEP2 リップラインはリペイントや「削り」でキメる。

唇のカスタムが表情の雰囲気を決定するのは人間の女の子のメイクと同じなんだとか。 「私のカスタムは唇に特長があると言われるのですが、女子ドールは自分的に"エロさ"が大切(笑)だと思っています。市販のファッションドールは唇のリペイント(再塗装)だけでもすごく変わります。 もっとリリカルでグラマラスに!という時は、"削り"を施します。『アリス◆ロック』は顔と同じ素材で"盛り、削り"ができるのですが、一般のファッションドールは基本的に"削り"しかできないので、皮一枚残すか残さないかの作業になります。最終的には紙やすりの目を徐々に上げていって手作業で調整します。唇の周囲も含めて立体的に矛盾なく削って、違和感ない高低差をつけます。ライトの光にすかして、削り過ぎないようチェック!」

カスタム前のキュートなリップ。

リペイントしてちょっと大人に。

リペイント&削りでNUDEに。

リペイント&削りでゴス調に。

STEP3 目ヂカラは普段の自分メイクを思い出して。

いよいよアイメイク。甘く彩るか、それともシャープにいくか。
なるほど最初のイメージ固めって大事ですね。
「ドールメイクは目ヂカラ勝負。人間だって、みんなアイメイクに時間をかけて一生懸命に描くじゃないですか。失敗すると出かけたくなくなるでしょう(笑)。
悩んだら、とにかく自分のアイメイクを思い出すんです。ドールは基本的にヒトガタの女の子だから、どうすればいいかわかると思うのですよね。男子でカスタムする人だと、化粧品やメイクばかりを扱った雑誌があるから、そう言った本から情報を得るといいと思います。
ドールメイクの前に一度、ご自分の顔でメイクをやってみた方がいい場合もあるかと思います。色をさす場所によって幼くなったり大人びたりしますから。リアル系のドールをカスタムする方は、デッサンもやっておいて損はないと思います」

アイラインは面相筆でひく。シャドウはチークはブラシやエアブラシで。
メイク素材は一般に、パステルや色鉛筆、絵具やドール専用のメイク素材など様々。
唇のグロス加工はバーニッシュなどツヤ出し材を使用。

左はカスタム前。メイクアップで大変身。

筆の種類が半端ない!ヘッドライトは3種類を同時に使うときもあるとか。

STEP4 『アリス◆ロック』のカスタムの魅力。

みつばちさんがプロデュースしてくださった『アリス◆ロック』はイージースリップで"削ったり盛ったり"でスタイルや顔立ちをどんどんカスタムできるドールですが、造形のポイントについて聞いてみました。
「アリス◆ロックは『ファッションドールと球体関節人形の両方を併せ持った新しいドール』。その上でスタイルもフェイスも、みんなが自分好みの女の子を作れるようなドールにしたかったのです。
お客様がイージースリップを盛ったり削ったりする場合、造形を最初からカンペキに作り込んでしまったら手を加える余地がなくなってしまいます。クセがありすぎると抵抗があるし、なさすぎてもつまらない......。落とし所を見付けるのに相当時間がかかりました。本当にすごく難しくて、構想が1年、原型を決めるのに2年......。冗談じゃなく禿げるかと思いました(笑)。
アリスは創作人形ですが、私はとにかくファッションドールの要素を忘れたくなかったので、いろんなお洋服を着こなせるボディラインにしてあります」

「アリス◆ロック」完成後、はじめて手がけたカスタムドール『9月のアリス』

『9月のアリス』(ALICE◆ROCK) DOLL CUSTOM:みつばち@BabyBee OUTFIT:HIROKO(Daisy-D)

STEP5 『アリス◆ロック』のメイクレッスン。

通常、創作人形のメイクは下地づくりなどからはじめますが、みつばちさんのアリス◆ロックのカスタムは人間でいうところの『ポイントメイク』オンリー。「私は、アリスのどのカスタムもチークを幅広くのせるだけで、下地は塗りません。あの白い肌を生かすため、アイメイクやチーク、シャドウを入れたり、眉を描いたりで十分だと思っています。色そのものが顔色に映る肌なので。チークも全体にのっているように見えますが、ちゃんと白さを残すことで、より雰囲気が出ます。パステルでメイクをするとやわらかい雰囲気になり、エアブラシだとはっきりした感じになります。

どのジャンルのドールカスタムにも言えることですが、本当に大切なのは、やる人の気持ちです。ドールを『モノだ』と思うと本当に仕上がりや写真を撮ったときに単なる『モノ』にしか見えないんです。顔パーツだけになってる状態でも、きちんと扱わないと唇も目線も表情も生きてこないのです。このあたりを意識するのがコツじゃないでしょうか」

フェイスだけだった子が完成。
作品名は『あなたがいなくてさみしい』

『あなたがいなくてさみしい』(ALICE◆ROCK)
DOLL CUSTOM:みつばち@BabyBee
OUTFIT:LIEN

PROFILE

みつばち@BabyBee

ドールカスタム作家。
2002年よりドールカスタムを開始。イベント、雑誌に多くの作品を提供・出品。
第一回ブライスビューティコンテストで「ミス・ポピュラリティ賞」(MIELE DOLCEメンバー)を受賞。
「ブライスカスタム基礎ノート」(グラフィック社)では3項目を担当。
ドールと声優のコラボ番組「ドーリィ☆バラエティ」(テレビ神奈川)ではドール監修などで参加。
Visuadoll他、商品ドールのサンプルメイクも多数手掛ける。
2010年パジコの創作球体関節人形『アリス◆ロック』をプロデュース

みつばち@Babybeeウェブサイト(Honey Drops):http://honeybee.hacca.jp/
アリス◆ロック製品情報URL:https://www.padico.co.jp/products/hobby/doll/doll_02_03.html
アリス◆ロックのブログURL:http://alicerockdoll.blog45.fc2.com/

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